top of page

■各国のソーシャルワーカーの資格制度の概要(のうちのひとつ。更新停滞中。相当、情報古し。適宜更新) 作成:樋澤吉彦


※あくまで講義の参考資料としてさくっと作成したもの。
※現在は制度改定がなされている可能性もある。
※間違い等ございましたら、なんなりとご指摘を。すぐに修正いたします。
※追加・補足情報感謝。

 


【アメリカ】
・1998年時、アメリカ合衆国で、精神保健や個人開業等で働くクリニカル・ソーシャルワーカー(CSW)の総数は約19万3千人。そのうちNASWの会員でCSWとされる者は9万6263人。
・CSWになるには、全米社会福祉教育協議会(CSWE)の認可した社会福祉大学院を修了後、約2年間、2,000時間に及ぶ現場実践を行い、居住する州やNASWの所管する筆記・面接試験に合格する必要がある。毎年約1万5千人が社会福祉修士号を取得。
・CSWの約77%は女性。また88%は白人。
・実践領域としては、NASWメンバーの33%が精神保健領域で働いている。児童分野16%、医療領域は13%。公的扶助領域は1%にすぎない。
・1974年、それまで修士号取得(MSW、マスター・オブ・ソーシャルワーク)がソーシャルワーカーの前提条件であったのに対して、CSWEが学士号取得者(大卒者)も専門職と規定。しかしMSWがソーシャルワークの主流であることに変わりはない。

【イギリス】
・最初はヤングハズバンドが就任したロンドン大学LSEのソーシャルワーク教育コース修了者に与えられるCSW(認定ソーシャルワーカー資格)。
・1968年のシーボーム報告(地方自治体の対人サービス部門の統合とニーズにあわせたソーシャルワーカーの配置を提起)を受けて、1972年に各自治体に「社会福祉サービス部」が創設される。これに伴い、全領域に関する認定資格としてのソーシャルワーク認定資格(CQSW)が創設。
・1973年には施設職員のためのソーシャル・サービス資格(CSS)を創設。
・イギリスにおけるソーシャルワーカーの資格は、中央ソーシャルワーク研修協議会(CCETSW)により認定されたコースを修了することにより与えられる。国家試験などはない。
・1987年には2つの資格を統合するかたちで、ディプロマ・イン・ソーシャルワークの資格を創設。

【スウェーデン】
・スウェーデンの社会福祉専門職教育は、全国に6つある国立大学のうちの4校(ストックホルム、ヨーテボリィ、ルンド、ウメオ)、および社会事業単科大学において実施。
・社会福祉専門労働者の資格は「ソシオノム」と呼ばれる。国家試験制度による資格ではなく、大学の社会福祉学部において所定の課程を修了したものに与えられる「称号」。

【デンマーク】
・デンマーク語でのソーシャルワーカーは「社会的な助言を与える人」の意をもつ。
・デンマークのソーシャルワーカーは、「社会事業単科大学に関する法律」による国立の単科大学等で養成される(3年間全日制)。卒後ソーシャルワーカーとなるが、各学校では継続教育、卒後教育が行われている。
・上記大学入学資格は、①9ヶ月以上の職業経験、②高等学校卒業試験等に合格していること、③デンマーク語による会話・筆記ができること。入試は無し。定員の範囲内で入学させる。

【フィンランド】
・フィンランドでは、社会福祉と医療の領域の基礎課程は一本化されている。この課程を修了後、専門領域の課程へ進む。
・社会福祉分野の専門職の資格は、「社会福祉士の資格を別途取得した高等教育(大学)課程修了者」となっている(→ここでいう社会福祉士というのは日本での資格とは異なる)。

【フランス】
・フランスの専門職資格のほとんどは職業適性資格あるいは国家資格。フランスのソーシャルワーカー(ASS、英語読みだとアシスタント・ソーシャル・サービス)は「国家資格」。取得方法は資格試験ではなく、いくつかの水準に分類された学校教育を受けることによって取得。

【イタリア】
・イタリアでは、1987年の大統領令、および1993年の「社会的援助者資格法」によって本格的にソーシャルワーカーの資格が整備される。
・ソーシャルワーカー(社会的援助者)資格取得のためには、高卒資格取得意したうえで、「準学位」(3年制)を提供する大学で「社会的サービス専門課程」を修了し、所定の国家試験(筆記・口述・実技等々)にパスする必要がある。そのうえで、実際に業務を行うためには当該地域の社会的援助者登録簿に登録する必要がある。

【ドイツ】
・国家認定ソーシャルワーカーになるためには、ドイツ連邦国の大学入学資格あるいは同等資格の取得が必要。そのうえで、4年制の専門学校で教育課程を終えたあとに国家試験を受ける。4年のうちの足掛け1年間はすべて実習。

【インドネシア】
・専門職ソーシャルワーカーは、最低3年間の専門学校卒業者かそれと同等のソーシャルワーク教育を受けたもの。

【韓国】※特に情報古し
・ソーシャルワーカーは、社会福祉士として教育法の規定により1級から3級までに分れている。その資格基準は社会福祉事業法施行令の別表に定められており、障害者分野では、約1,200人の社会福祉士がおり、そのうち1級社会福祉士は約80人。
・韓国ソーシャルワーカー協会(KASW)は1967年に結成され、1977年に保健社会部に登録され、各市、各道に支部がある。
・資格取得者は2004年時点で101,244人。

【中国】
・中国の福祉専門職には「社会工作師(初級と中級の2種類)」と「介護員」の2種類がある。社会工作師は2006年9月から国家試験が開始されている。社会工作師のばあい、大学レベルの養成が行われているが、給与が低いなどの問題のためにそのまま福祉に就く人は少ない。介護員は「初級」「中級」「上級」に分かれているが、やはり給与が低く、女性を中心とした40歳以上か農村地域出身者によって担われている。
・最近の特色として「社区服務」という独特の地域福祉機関がある。2003年に出された全国老齢工作委員会弁公室が各行政の高齢者問題担当幹部向けに編集した「老齢工作幹部読本」によれば、「社区服務」は以下のように定義されている。すなわち「社区服務」とは、「政府の指導に基づき、街道を主体とし、居民委員会に委託して社区成員を動員した互助活動を展開、社会問題の解決、人間関係の調整、社会的矛盾の緩和、社区における福祉の向上を目指し社会的進歩を促すための活動」。




(引用・参考文献)
・仲村優一・一番ヶ瀬康子編集委員会代表『世界の社会福祉』(旬報社、アメリカ2000年、イギリス1999年、スウェーデン・フィンランド1998年、デンマーク1999年、フランス・イタリア1999年、ドイツ2000年、インドネシア1998年).

・高橋五江・李昌喜「韓国の障害者リハビリテーション」、『リハビリテーション研究』、54、1987:31-38.

・城本るみ「中国の社会福祉改革と高齢者福祉の行方」、『人文社会論叢』、13、2005:37-59.

・日本社会事業大学社会事業研究所編『アジアのソーシャルワーク教育』(学苑社、2007年)

・高 継芬「社会福祉士国家試験を巡って-中国と日本の国家試験の比較について-」、日本社会福祉学会 第60回秋季大会資料、2012年.

研究/活動

​top

bottom of page